
—簡単なプロフィールを教えてください。
1970年東京生まれ、東京育ち。大学卒業後8年間経済分析、エコノミストの仕事をしていましたが、30才で仕事を辞めOBSのJALTに参加。その後2年間ほど、OBSのインストラクターをしながら、留学のための勉強をして、その後アメリカの大学院に行きました。今は日本に戻り、経営学を教える仕事をしています。
—仕事を辞めて、JALTに参加をしたきっかけを教えてください。
OBSに来る前にしていた仕事は、色々な数字やデータを見て、日本の経済を分析したり予測したりする仕事でした。朝から晩までコンピューターの前に座り、数字と向きあう日々。忙しすぎて休みもなく、人との関わりもほとんどありませんでした。
このままだと何か偏った人間になってしまうのではないかという思いが出て来たころ、忙しすぎて体を壊したことをきっかけに、仕事を辞めました。
社会人2年目の時に実はOBSのセルフディスカバリー10日間に参加をしていて、その時に自分が感じたことを思い出し、OBSのインストラクターという仕事に興味を持ち、JALTに行くことにしました。たぶん、今までとは真逆の環境に行きたいという思いがあったのだと思います。
—社会人2年目の時に出たセルフディスカバリーで感じたこととは?
きっかけは「山と渓谷」という雑誌に特集されていた、アウトドアエデュケーターの記事でした。実際に記者の方が参加をして書かれたレポートには、仲間との感動や気持ちの変化が書かれていて、興味を持ちました。もともと登山が好きだったので、何か参加したいと思い、休みをとって10日間のコースに参加をしました。
その当時、忙しい仕事の合間をぬって山に行っていましたが、時間はないけれどお金はたまっていく一方だったので、山の道具には、かなりこだわっていました。いい装備ばかり使っていた私は、OBSのコースで渡される装備に最初は不満を感じていました。とてもシンプルで、機能やメーカーにはこだわっていない装備ばかり。しかし、それで10日間を過ごしてみて、「これでも十分なんだ」と、大事なことはもっと他にあるんだと気づきました。高いもの、いいもので自分を着飾ることよりも、自分の力、体力、「やってやる」という強い気持ち、仲間との信頼関係が大切で、そういうものを持つことで、できなさそうと思うようなことも乗り越えられるのだということを知りました。
それからはスーツも高いものを買わなくなりました。高いスーツで自分を着飾るのではなくて、自分自身がしっかり力を発揮すればいい。素の自分をどうやって磨くかに興味を持つようになりました。
—仕事を辞め、OBSのJALTに参加して感じたことはどんなことですか?
JALTに参加をする直前までは、ほとんど運動をしていなかったので、最初のセルフディスカバリーの9日間のセクションは本当に辛かったです。何をしてもみんなに追いつけず、劣等感ばかり感じていました。それでも、日を追うごとに体力もつき、体も軽くなっていって、周りからチャッキー(私のニックネーム)はどんどん元気になっていったと言われていました。JALTには自分を含め16人のメンバーがいましたが、色んな人がいておもしろかった。色んな思い出があります。苦楽を共にした仲間はとてもいいものです。
—その後インストラクターになりましたか?
実は自分はJALT終了後、インストラクターになるためのインターンプログラムに選ばれず、すぐにはインストラクターになることができませんでした。JALT中に体力がついたといっても、まだまだ足りなかったですし、クライミングやカヤックの技術もそれほど自信がありませんでした。それでも、インストラクターになるためにJALTに来たのに、結局なれなかったと焦りの気持ちがありました。その後、地元に帰り、毎日の様にクライミングジムに通ったり、体力をつけるために泳ぎに通い、週末には川にカヤックの練習に行きました。半年間自分なりにトレーニングをして自信がついた頃、もう一度OBSに連絡をして、インターンのプログラムを受けることができました。そして、それから2年程、インストラクターとして、いくつかのコースに関わりました。
また、同時に、もう一つの目標だった、海外への留学に向けて、勉強を始め、2年目で合格し、OBSを離れてアメリカへ行きました。アメリカでは経営学を学び、帰国後、経営学を教える仕事をしています。
—新しいことに取り組もうとする時、迷いや不安はありませんか?
いつも、逃げられない状況を自分で作っています。すぐにインストラクターになれなかった時も、初めはすごく落ち込みましたが、他には道がなかった。だから、なるために必死に努力をしました。大学院を受けた時も1年目は受けた大学から全て不合格の通知をもらい、かなり落ち込みました。でも、そのために費やして来た時間や努力を考えると諦める訳にはいかなかった。私の人生は成功ばかりではありません。むしろ失敗の方が多い。でも、他に道はないから、そこに向って努力するしかないんです。
—今、感じていることは?
今、日常の生活をしていて、自分は便利すぎる、甘やかされすぎていると感じています。本来人間は他の動物と同じように、水を飲むためにどこかに移動をしたり、食べ物を採ったり、生きるために体を動かしていました。でも、今の生活の中では、暑さも寒さもボタン一つで調節し、お金を出せば食べ物を与えられ、なんでも簡単に手に入る暮らしをしています。そうすると、人間が本来動物として持っている能力、感性や身体の能力がどんどん失われていくように思います。
OBSのプログラムは大自然の中で、人間の弱さや、本来の能力を感じさせてくれます。自然の中に身をおくことによって、本来の潜在的な能力が引き出されていくように思います。だからこそ、普段は感じないような自分の可能性や力に気づくことができるのだと思います。「どんなところでも強く生きていける」そんな自信がつくと思います。
もう一つ、OBSのプログラムやOBS長野校の環境は、東京のギラギラした生活とは対照的にとても素朴で、シンプル。でも、それで人は十分幸せを感じることができる。すごく温かみや人間味を感じることができます。
自分の人生をどう生きていこうか迷っている人、自信が持てずにいる人にぜひ参加してほしいプログラムです。きっと何か新しい道が開けていくと思います。




